早川彩澄の華麗なる日々


ハキハキと滑舌よく、流れるように紡がれる言葉。丁寧な言葉遣いだが、相変わらず首元に添えられているナイフのせいで脅しのようになっている。


先程までの男の振る舞いを見ていた客達は、驚きながらも止める様子はない。


そんな客達の間を通り抜ける店員。そのほとんどは早川の行為を自然なものと見ているのか、気に掛けることはせずに自分の仕事を淡々とこなしていく。若い男が一人、早川を見て驚愕しているのがおかしいと思えるほどに。


早川は完璧な営業スマイルを見せていた。店のポスターに採用されそうな笑顔は、手に持つナイフのせいで、見る者によってはある種の狂気を感じさせる。


男はつい数分前までの傲慢な態度が嘘のように、目の前に立つ若い女に対し恐怖の色を目に宿している。体は震え、頬を引き攣らせ、脳は早川から離れろと警告を発するが、眼前の狂気を前に小刻みに震えることしか出来ない。