早川彩澄の華麗なる日々


「えちょッ――!?」


男が後方に倒れてきた。咄嗟のことで避けることが出来ず、お洒落を重視したハイヒールを履いては支えることも出来ず、早川は男に押し潰される形で地面に倒れた。


「――え、何?」


何が起きたのか判らずキョロキョロと辺りを見渡す早川に、謝罪の言葉が掛けられる。


「す、すみません。人がいるなんて気付かなくって……本当にすみません。大丈夫ですか?」


熱心に謝るのは、男と言い合いになっていたと思しき少年。――彼が男を倒したというのだろうか。


あたふたと慌てふためき、必死に謝罪の言葉を繰り返す少年は、早川を起こそうと手を差し伸べる。


「あ、いや、大丈夫だから。ところでッわッ!?」


立ち上がろうとした早川の前で、先に立ち上がった男が「このッ」と言いながら少年に殴りかかろうとした。だが少年のハイキックがヒットするのが先だったため、男は倒れる。