早川彩澄の華麗なる日々



シュシュで束ねたポニーテールに触角ヘア。カーディガンとロングスカートに身を包みんだ早川は、カフェにいた。


勿論これは仕事としてではない。本日は休日である。



普段働くファミレスとは違い、落ち着いた雰囲気。それは店内に流れる曲が静かな旋律を奏でているからか、お一様が数人という客層だからか。


飲食店とはいえ、個人が経営し、客が十数人も入らないような場所で早川は働いたことはない。専ら、全国にチェーン展開されているようなファミレスやレストラン、居酒屋が彼女のバイト先だ。


だから早川がいるカフェの店長や店員は、『ウェイトレスのハヤカワ』は知っていても、窓辺の席に座り食後のコーヒーを飲んでいる女性が早川彩澄であることは知らない。そんな、自分を知らない店があるというのは、早川にとって過ごしやすかった。