早川彩澄の華麗なる日々


自分から訊いたことだが、当然のように返された言葉に何と返事をすればいいか判らなかった。客の顔を覚える――一部の客だろうが、それでも早川のことだからその数は多いのだろう。


流石、と言うべきか。そこまで、と率直な気持ちも言葉に出そうになり、誤魔化すように笑みを浮かべてから話題を変えた。


「いや、すいません。正直ビビってました。ヤクザの名前出されて」


「安心して下さい。こんな所で名前を出すような人は最初からその組織とは無関係ですから。それに遠慮なく法的処置を取るべきですよ」


「いやぁ、俺には無理ですよ。早川さんみたいな真似は。――あ、いや。これ皮肉ってる訳じゃなくて、ホントに凄いなって思ってて」