女は終始無表情で声は落ち着いており、多くの客で賑わう店内では隣の席に座る客や、側を通る店員にしか話の内容は聞こえていない。
そして店員は非常事態に備え、早川を呼びに行った。
女はテーブルに置かれたアイスコーヒーを一口飲み、口内を湿らせてから、口を開く。
「そんなふざけたものが通ると思ってんの?馬鹿にしてんの?私を!?」
バンッと机に手を叩き付け、先程までの淡々とした口調とは打って変わった態度。
「おまッ、ここをどこだと思ってんだ?迷惑になるから落ち着けって!」
「はあ?ファミレスだったら穏便に済ませられるとでも思ってたわけ!?だからここで話し合おうって!?ふざけるなってーのッ」
火に油を注ぐような発言を切っ掛けに、女は立ち上がり捲し立てる。
男の言っていることは尤もなのだが、それを言い訳に彼女が納得すると思っているなら大間違い。



