彼を見たら、シロは誰にもわかるようにはっきりと
「さみしい」
と言った。

素直じゃない彼女のかわりに、しっかりと何度もさみしいと。

彼にすり寄るシロを彼女は抱き上げて、寝室で荷物を整理した。


彼は、ごめんと言ったのに、
聞こえないフリをしたのは彼女。

聞こえていたら、きっと彼女だって言わなくてはならなかったはずだ。

ごめんなさい、と。


部屋の隅で丸くなる彼女は、いつまでも夜の砂浜で迷ったままの猫だった。