僕の胸の鼓動が高まっているのは、きっとアルコールのせい。
……だけじゃ、ない。

「大丈夫だよ。ちょっと静かに一休みしてただけ」

僕が平静を装い、手にしていた缶ビールを持ち上げると、君の顔にはいつものタンポポみたいに心が温まる笑顔が戻る。
小さい君が、タタタッと小走りでベンチを廻り、僕の隣りにちょこんと座った。

指先が、触れるか触れないかの距離に、君がいる。
あぁ、遠く向こうではお花見で盛り上がっている。
指先に微かに感じる君の熱に、意識が集中しているのが分かる。
冷静になれ、平然を装えと頭の中で繰り返した。