「桜、良い機会だからちゃんと言う。桜の心がまだ、他の誰かに支配されていたとしても。……俺の心は、まっすぐ、桜だけに向いてる。だから、桜の気持ちがこっちに向くように頑張るから、一緒に前を向こう。俺と付き合って?」

抱き締められたまま、紡がれた愛の告白は、頑なな私の心を少しずつ溶かしだす。
完全に拭いきれない香澄先輩への劣等感は、憧れの裏返しなのかもしれない。
そして何より、まっすぐ向き合ってくれている海斗に私の心を伝えなくちゃ、いけない。

「私は、海斗が、好き」

まさに一世一代。
生まれて初めての、告白は……



パチパチ
ひゅーひゅー




いつのまにか集まっていたギャラリーに、祝福されて、終わった。
きっと、これからの笑い種にされるんだろう。




*今と未来を繋ぐもの。『桜咲く』/完