さくら、ひらひら。

「桜?」

怪訝そうに海斗は私を窺う。
イヤイヤ、と駄々っ子のように首を振るしかできなくて、これ以上の言葉を紡げない。

「桜、聞いて?」

それでもなお、首を振るしかできない私を、海斗は捕まえる。
付き合おう、と言ったあのときのように、その胸へ私を誘う。

「いるじゃないか。大切な人の、ところに」

その言葉を受け入れていいのか、分からない。
私には、海斗と香澄先輩の間に何があったのかなんて分からないから。
すべてそのまま受け入れていいのか、分からない。

「言ってよ、桜。ちゃんと思ってること。ねぇ、言って?」