「梓、今日どっかよってく?」

終業のチャイムと同時にざわめき出す教室で、私は梓の机へ赴く。
入学式の日に、雨の中式次第を見て顔をほころばせていた女の子は、あれから2年の月日を越えて私の親友になった。
入学式の時のあどけなさの残っていた顔は、今は程よく可愛らしい女性へと変わりつつある。
私自身もそうであることを望む。

梓の席まで行くと、その前の席で大きな体を丸くして眠っている小泉くんが視界に入った。
その姿はまるで猫がこたつで丸くなっているみたいで、大きな体とそのミスマッチが微笑ましい。