だけど、小泉くんの想い人である梓にこんな相談をできるはずもなく。
時間はただ流れて、私たちは変わらずの関係のまま。


だけど、歯がゆいような、もどかしいような思いを抱えているのは、多分、私だけ。


気になれば気になった分だけ、小泉くんを見てしまう。
見てしまえば見てしまう分だけ、小泉くんの気持ちがわかってしまう。

切なくて、苦しい。
そう、確かに、この時から私の片思いは、今もなお立ち止まったまま……



桜の木に生い茂る葉が、柔らかな風を受けて、さわさわと鳴る、17歳の初夏―――…。