ぐいっと腕を引かれた。 え? 目の前が真っ暗になった。 甘くて優しい香りが私を包み込む。 愛しくて、大切な人の、少し汗が混じった匂い。 どれだけ必死に追いかけてきてくれたのかが痛いくらいにわかる。 私、何やってんだろ。 そうだよね、私のこと好きでなくなってたら、 自分も落ちるかもしれないのに、 階段から抱きとめてくれない、よねっ。 ごめんね、ごめんね。 「愛希くんっ、だいすきっ。」 「おれ「ふざけないでよっ!」 え?