すごくショックだった。
私は、愛希くんが記憶を戻ってから一度もキスをしてない。
なのに、私じゃない子としてる。
カバンが廊下に落ちる音が鳴り響いた。
二人は驚いてこっちを振り返った。
なんで?
なんで驚くの?
やましいことじゃないんだよね?
ねぇ、なんで、
私、愛希くんのこと信じてるはずなのに、
なんで、なんで、
こんなに泣いてるの?
涙が止まらないの?
私はカバンを拾い上げて
走り出した。
「望愛!!」
愛希くんの私を呼ぶ声が今は、つらい。
多分追いかけてきてる、
けど、もういやだった。
今だけは一人にしてほしい。
階段を降りようとしたところで、
階段を踏み外した。
「きゃっ!」
「望愛っ!」


