ここに来てから次から次へといろんな事が起こり、頭の中が全然整理されていない。


「この空間はなんなんだ!?」


思わず声を張り上げる。


今まで我慢していたものが全部一気にあふれ出そうな衝動に駆られる。


大声で叫び、電車内にあるものをすべて破壊してしまいたい。


そんな、暴力的な感情だ。


その感情をグッと奥へと押し込めるため、俺は目を閉じて深呼吸を繰り返した。


少し落ち着き、そっと目を開ける。


床が目に入り、その視界の中に黒いスーツが入り込んできた。


何の物音もたてず目の前に現れたその男に、俺はハッとして顔を上げた。


「お前……」


俺は小さく呟く。


車掌は無表情のまま、俺を見下ろしている。


ハッと気が付いて前の車両へと続くドアを見て見ると、そこは開け放たれていた。