「中田、あたしはアンタの本心が分からない」
中田の目の前に立ち、独り言の様に言葉を落とす。
抑揚のない声色とは裏腹に、交わる視線はこれまでにない程穏やかで。
あたしは初めて中田に触れた気がした。
今、互いの心には何の感情も無い。
いつも顔を合わせるだけで感じていた苛立ちも、そして怒りも。
ただ真っ直ぐ。
真っ直ぐに相手の真意を探るかのように見つめ合う。
「俺は、ただお前を手に入れたかっただけだ」
その真っ直ぐな瞳に反して、呟くように零れた言葉。
今にも消えそうなその言葉は、確かに中田の本心を表していた。
「………」
その場にゆっくりとしゃがみ、片膝をつく。
見下ろしたままじゃいけないと思った。
同じ目線じゃないといけないと思った。
対等じゃないと中田はきっと心を開いてくれない。
きっと。
「それは、あたしが鳳皇と一緒にいるから?」
率直にそう問いかける。
地面に座り込んでいる中田と、その目の前に腰を下ろしているあたし。
立場は逆だが、まるでさっきの工場でのあたし達を再現しているようだった。
けれど、二人の間に流れている空気は“あの時”とは正反対で。
逆に心地良ささえ感じる。


