Ri.Night Ⅳ



「中田、あたしはアンタの本心が分からない」


中田の目の前に立ち、独り言の様に言葉を落とす。


抑揚のない声色とは裏腹に、交わる視線はこれまでにない程穏やかで。


あたしは初めて中田に触れた気がした。



今、互いの心には何の感情も無い。


いつも顔を合わせるだけで感じていた苛立ちも、そして怒りも。


ただ真っ直ぐ。


真っ直ぐに相手の真意を探るかのように見つめ合う。




「俺は、ただお前を手に入れたかっただけだ」



その真っ直ぐな瞳に反して、呟くように零れた言葉。


今にも消えそうなその言葉は、確かに中田の本心を表していた。


「………」


その場にゆっくりとしゃがみ、片膝をつく。


見下ろしたままじゃいけないと思った。

同じ目線じゃないといけないと思った。


対等じゃないと中田はきっと心を開いてくれない。


きっと。



「それは、あたしが鳳皇と一緒にいるから?」


率直にそう問いかける。


地面に座り込んでいる中田と、その目の前に腰を下ろしているあたし。


立場は逆だが、まるでさっきの工場でのあたし達を再現しているようだった。


けれど、二人の間に流れている空気は“あの時”とは正反対で。


逆に心地良ささえ感じる。