音がした方へ目を向けると、倉庫の扉は目一杯開かれ、今叫んだであろう男、もとい透を先頭に沢山の男達が立っていた。
貴兄は振り返らなかった。
ポケットに両手を突っ込んだまま中田だけを見据えている。
そして、
「──中田、終わりだ」
そう冷ややかに言い放った。
次の瞬間、今まで静かだった倉庫内が爆発したような歓声に包まれた。
みんな……。
視界に映るのは、たった今まで息切れをしていた男達が抱き合って喜ぶ姿。
髪は乱れ、真っ白だった特攻服は汚れてボロボロ。
所々に血がつき、顔が腫れてる人もいた。
そんな痛々しい姿なのに、皆の表情はそれを感じさせないぐらい光り輝いていた。
嬉しそうに、
本当に嬉しそうに笑っている。
目映い程の満面の笑み。
身体を寄せ合い、勝利を喜ぶ男達の姿がそこにあった。
「──中田」
鳴り止まない歓声を背に、貴兄が再度中田の名を呼ぶ。
視線を戻すと、さっきまで立っていた筈の中田はいつの間にかその場に座り込んでいて、変わらず頭を伏せていた。
「お前は俺の一番大切な人を巻き込んだ」
そんな中田に諭すように言葉を紡ぎ始める貴兄。
先程とは違うその声色に中田がゆっくりと顔を上げる。
「凛音さえ巻き込まなければ俺はお前を潰そうとはしなかった。
いや、違うな。凛音が俺等の元へ戻った時点で諦めていれば、お前を潰そうとも手を組もうとも思わなかった」
貴兄……。
「お前は自分で自分の首を絞めたんだよ」
「………」
「これ以上凛音に近付くな。次凛音に近付いたら──」
「貴兄、待って!」
「……凛音?」


