Ri.Night Ⅳ


あたしは“この人”こそ人の上に立つ者だと思った。


あらゆる策を考慮し、その中で最良の策を見付け出す。緻密に作られたその策は当然穴一つ見付からない。


狙った獲物は絶対に逃がすことは無い。

敵を欺き、その首を掻っ切るまで追い続ける。


きっと、敵にすると一番恐ろしい人。


それが獅鷹総長、“獅貴王”。



あたしは今日、初めて獅鷹総長としての貴兄を見た気がした。


そして、S県でトップと言われるのは伊達ではないと、今日、この身を持って知った。







「馬鹿な……この俺が……」



顔を伏せ、拳を小刻みに震わせる中田。



“馬鹿な……この俺が”


この言葉に続くのはきっとこの言葉。


“負けるなんて”


プライドの高い中田の事だから、きっと口には出せなかったのだろう。


あれ程までに勝利に執着していたんだ。


簡単に認められないのは仕方ないのかもしれない。



「……っ」


悔しさを滲ませ俯くその姿は、抗争前のあの自信満々な姿とはかけ離れていた。


同情する。本当に。


中田は絶対に関わってはいけない人に手を出してしまったんだ。


手を出さなければ、もしかしたらもっと違った結末になっていたのかもしれない。