なんかもう、驚愕を通り越して感心してしまった。
だって、あたしは貴兄の手の上で上手いこと転がされていたのだから。
「部屋に入る前、俺は凛音がついて来ているかどうかを確認する為、外で待機している透に電話をかけた。
凛音が無事工場内に入ったと聞き、俺と優は部屋へ入って中田と一緒にいる所を凛音に目撃させたんだ。
後は知っての通り、お前の前に凛音が現れ、俺達の関係を知った凛音の姿を見て俺が裏切っていない事を確信した。
だから外にいる奴等を中へ入れる事に決めたんだろう?」
「………」
「全て俺の思惑通りに事は進み、最終的にお前は俺を信じた」
そう言った貴兄は、これで終わりだとでも言うようにニッと勝ち誇ったかのような笑みを中田に向けた。
「チッ」
その笑みに眉を寄せた中田は舌打ちし、貴兄に噛み付いた。
「あの時は凛音がたまたま木片を蹴った。それで気付いたんだろう?もしそれがなかったらどうしてた!?」
「残念だったな。それも俺が仕掛けておいたんだよ。いくつかの木片をその辺に置いておけば必ずどれかに引っ掛かる。
もしそれに引っ掛からなくても透が部屋に行くフリをして凛音を見付ければ済む事だ。
どっちみち凛音はお前の前に現れてたんだよ」
「……テ、メェ……」
中田の視線が貴兄に鋭く突き刺さる。
けれど、貴兄は少しも動じたりせず、余裕の笑みを浮かべていた。
それはきっと、すぐ先に完全なる勝利が見えているからだろう。


