「今日の朝、俺等ちょっとした小競り合いしただろ?」
「う、うん……」
それって多分チョップされた時の事だよね?
それが……?
「その後、お前は貴兄を呼びに行った筈だ」
「………」
「呼びに言った時に聞いたんだろう?貴兄の会話を」
その問いかけに心臓がドクンと大きく飛び跳ねる。
あの時の光景が脳裏に浮かび上がった。
数センチ程開いた扉から聞こえる貴兄の緊迫した声。
普段の声とは違い、その声は“獅貴王”そのもので。
「貴兄の電話の相手は俺だ」
あれは、真実としか思えなかった。
「そんな……あれが、あれが……」
全て、仕組まれた事だと言うの?
「俺が何かしらの理由をつけ、お前を貴兄の部屋へと向かわせる。
そしてその後、タイミングを見計らって貴兄に電話をかける。それが俺と貴兄の計画だった。
お前は何の疑いもなく貴兄の部屋へ向かい、俺等の会話を聞いたんだ」
「………」
頭が……上手く働かない。
理解、出来ない。
あれが……二人の仕組んだ罠だったって言うの?演技だったって言うの?
そんな、まさか……。
「俺は凛音にあたかも鳳皇と抗争するかのような会話を聞かせた」
「………」
「この会話を聞けば凛音は絶対尾行してくる。凛音の性格上そういうのは放っておけないと知っていたからな」


