貴兄は分かっていたんだ。
あたしが鳳皇との事を知ったら、貴兄を説得する事も。
そして、無理矢理強行突破をすればそれを阻止しようと動き出す事も。
だからあたしには何も言わなかった。
何も言わず、水面下で動いて今回の準備を整えていたんだ。
あたしが陽を追いかけて倉庫を飛び出していったあの日。
貴兄の元へ慎と透からあたしが居ないと連絡が入った。
その時、貴兄はあたしの“想い”を見抜いたんだと思う。
あたしがまだ鳳皇に未練があるという事を。
そして、鳳皇を想っている事を。
貴兄は、きっと見抜いていたんだ。
だからあたしには何も言わなかった。
あたしが鳳皇に未練があると知って、それでも尚、切り離そうとするのは何故?
危ない目に合って欲しくないから?
それとも敵対する鳳皇だから?
明確な理由が分からない。
あたしは自分から鳳皇に別れを告げた。
それはあたしにとって苦渋の決断。
両チームにこれ以上喧嘩をして欲しくないと思ったから、あたしは鳳皇と離れる決意をしたんだ。
言葉にこそ出さなかったけど、貴兄はそれを分かってくれてた筈。


