Ri.Night Ⅳ


貴兄は分かっていたんだ。


あたしが鳳皇との事を知ったら、貴兄を説得する事も。


そして、無理矢理強行突破をすればそれを阻止しようと動き出す事も。


だからあたしには何も言わなかった。


何も言わず、水面下で動いて今回の準備を整えていたんだ。





あたしが陽を追いかけて倉庫を飛び出していったあの日。


貴兄の元へ慎と透からあたしが居ないと連絡が入った。


その時、貴兄はあたしの“想い”を見抜いたんだと思う。


あたしがまだ鳳皇に未練があるという事を。


そして、鳳皇を想っている事を。


貴兄は、きっと見抜いていたんだ。


だからあたしには何も言わなかった。



あたしが鳳皇に未練があると知って、それでも尚、切り離そうとするのは何故?


危ない目に合って欲しくないから?

それとも敵対する鳳皇だから?


明確な理由が分からない。



あたしは自分から鳳皇に別れを告げた。


それはあたしにとって苦渋の決断。


両チームにこれ以上喧嘩をして欲しくないと思ったから、あたしは鳳皇と離れる決意をしたんだ。


言葉にこそ出さなかったけど、貴兄はそれを分かってくれてた筈。