「……っ、だが、あの時はそれ以外何も言わなかったじゃねぇか!」
「言わなくても理解したんだよ。桐谷は“あの会話”で俺の真意を見抜いた。
俺がお前と手を組んだフリしているとな」
「……クッ」
悔しそうに噛み締められた唇は、今にも噛み千切りそうなぐらい歯が食い込んでいた。
中田の剥き出しとも言えるその感情に、最早哀れとしか言いようがない。
だが、そこは中田。
簡単には引き下がらなかった。
「何故此処まで手の込んだ事をした?」
中田の鋭い視線が貴兄へ襲いかかる。
「お前には分からないか?Dを倒すには必要不可欠なモノがあったんだよ」
「必要不可欠なモノ?」
中田は心当たりがないのか、怪訝な顔で貴兄を見据えた。
そんな中田に貴兄はフッと笑みを零す。
「奴等には特定の居場所がない。だから抗争を仕掛ける事は無理だった」
「………」
「そこで俺は考えたんだ。
抗争に行けないのなら“来てもらえばいい”。
奴等から出て来るような状態を作れば、ってな」
「………」
確かに貴兄の言う通りだ。
溜まり場がないと喧嘩を仕掛けにもいけない。
貴兄はDの事をほとんど知らないような事を言っていた。
名前と存在だけしか知らないのなら、呼び寄せる事は不可能だ。
だからこの計画を立てたの?


