「──喧嘩が始まる前、俺は十夜に聞いた」
突然話し始めたのは煌。
「その時十夜は“変更はない”と言った。だからそのまま実行に移したんだよ。
けどな、ぶっちゃけ焦ってた。俺等が闘う相手は獅鷹幹部ではなく“D”だ。
それなのに、俺等鳳皇幹部の相手は獅鷹幹部。本気で来るとなったら“D”どころじゃなくなる。軽傷じゃ済まされないかもしれない。
……けど、それは余計な心配だった」
余計な心配だった?
一気に言葉を並べた煌が急にその口を止め、何故か嵐ちゃんに目を向けた。
「拳を交えてすぐ、奴はこう言ってきたんだよ。
“俺達の敵はDだ。中田と組んだのはDをおびき寄せる為。俺達に協力しろ”とな」
「まさか……」
中田の表情が固まる。
衝撃が強すぎて言葉にするのもままならない。
本当に“まさか”だった。
あの時、皆は本気で闘ってなかった?
闘うフリをしてただけ?
「中田、お前も聞いてただろう?俺と桐谷の会話を」
「………」
「俺達は“遊んでた”んだよ。──時が満ちるまでな」
時が満ちる、まで?
あ……。
今、貴兄の言ってる意味が分かった。
獅鷹が殺られたフリをし終わるまで、だ。
貴兄は獅鷹が殺られたと思わせる為に時間稼ぎをした。
でも何故こんな手の込んだ事を……。


