中田が黙ったのを確認すると、貴兄はおもむろに振り返り、クイッと顎で合図した。
その合図に足を踏み出したのは優音。
真剣すぎる程真剣なその眼差しは真っ直ぐ中田へと向けられている。
貴兄は優音が隣で立ち止まった事を確認すると、再び口を開いた。
「遊大に説得された俺達はお前と手を組む事を決め、緻密に策を練り上げた。
そして、準備が整ったところでさっき言っていた事を鳳皇へ告げるように命じたんだ。
……中田、お前には何故俺達が鳳皇に告げたのか分からないだろう?」
「………」
「告げるのと告げないのとでは全然違うんだよ。
……現に桐谷、お前は俺達が敵だと分かっても自分達の策を実行に移しただろう?」
「……あぁ」
「ちょっと待てよ!それは計画通りにいってたから言える事だろう!?
もし鳳皇が計画を中止して真正面からぶつかって来てたらどうしてた!?」
……そうだ。中田の言う通りだ。
上手くいったから良かったものの、最悪の場合鳳皇が予定を変更する事だって有り得る。
そうなった時、収拾がつかなくなったでは済まされない。
「それでも実行していたさ。こちらも鳳皇がどう思っているのか分からない状態だった。
だから、鳳皇が獅鷹に裏切られたと思っていると想定して作戦を練ったんだ。
その作戦が上手くいったからこそこの現状になってるんだよ」
「想定して作戦を練った、だと?」
中田の眉がこれ以上にないぐらい引き寄せられる。
その表情から察するに、中田は貴兄の説明を理解出来ていないのだろう。
あたしもイマイチ理解出来ていなかった。
というより、貴兄の言っている作戦とやらの謎が解けていないからだと思う。


