どこからどう見ても怪我一つしていない獅鷹の人達。
それは何故倒れていたのか疑問に思う程だった。
答えを導き出せないあたしはこの状況に顔をしかめる事しか出来ない。
さっきの中田みたいに服についた土埃を払う人。
手を上げ、背伸びする人。
そして首を左右に曲げて首を鳴らしている人。
今の今まで地面に沈んでいたとは到底思えないその身軽さに開いた口が塞がらなかった。
「奴等が来た。封じろ」
唖然としているあたしの耳に入ってきたのは、貴兄の声。
その声に導かれるように振り向くと、まず目に飛び込んできたのは携帯だった。
そう。貴兄の右手には携帯が握られていたのだ。
その携帯を見て、さっきの言葉が電話の相手へ向けられたのものだと悟った。
「……獅貴王、これは一体どういうことだ?」
中田の纏う雰囲気がガラリと変わったのが分かった。
さっきの表情とは一変し、眉間には深い縦皺。
味方にとは思えない程鋭い視線を貴兄に向ける。
「分からないか?」
そんな中田に反して、貴兄の口元には小さな笑み。
その笑みはまるでこの状況を愉しんでいるかのように見えた。
貴兄の真意が全く見えない。
だが、次の言葉でその一部が明らかになった。
「ワザと殺られたフリしてたんだよ。
bladeと“D”。お前等を倒す為にな」
──貴兄の真意の一部が。


