「──っ!」
驚きのあまりグっと息を詰まらせる中田。
だが、中田も人の上に立つ者。
背後から感じる気配に直ぐ様振り返った。
『遅い』
けど、それよりも背後にいる人物の方が遥かに速かった。
振り返ろうとする中田の後頭部を鷲掴みにし、その動きを止める。
そして、思いっきり足を払った。
「クッ!」
グラリ、と中田の身体が右方へと傾く。
このままいけば勝手に倒れる。
それなのに、中田を襲った人物は鷲掴みにしていた後頭部を払うように押し、確実に仕留めた。
それはまるで、仕留めた獲物にトドメを刺すかのように。
言葉を発してから中田が地面へと沈むまでは、まさに一瞬と呼べる程の時間だった。
やられた本人は今何をされたのかきっと理解出来ていないだろう。
しかし、これだけでは終わらないのがこの人物の怖いところ。
地面へと叩きつけた中田の上へ荒々しく馬乗りになり、右手でその首を絞める。
息つく暇さえ与えないその行動に、周りの人間は目を見開き唖然としていた。
「……っ、お前、凛音?」
この時、中田は初めて背後にいた男が“凛音”だという事に気が付いた。
いや、中田だけではない。
その場にいた全員が中田の言葉によって“凛音”だと気付いたのだ。


