「お前等鳳皇は此処で墜ちるんだ。Dが到着するまでせいぜい自分達の行く末を考えとくんだな」
中田の頭の中には最早勝利しか浮かんでいない。
Dが姿を現すこと、イコール勝利。
中田の脳内ではその図式が出来上がっていた。
終焉を迎えつつある戦場に中田の勝ち誇ったかのような高笑いが響き渡る。
薄暗い工場内。
沈んだ男達。
呻き声すら聞こえない。
砂埃が舞う中で、愉しそうに拳を交え合う八人の男達。
中田の高笑いを耳に捉えてもその拳が止まることはなかった。
──それなのに。
ガラッ。
「中田さん!女が逃げました!!」
荒々しく開けられたドアと共に聞こえてきた叫び声で幹部達の動きが止まった。
幹部達だけじゃない。沈んでいる者達以外の全員が今入ってきた男へと視線を向けた。
その男は凛音を追い掛けていた男達の一人。
あれから男達は結局屋根へ飛び移る事が出来ず、遠回りをして中田へ知らせにきたのだ。
静まり返った工場内にその男の息切れだけが響き渡る。
だが、それもすぐに中田によって掻き消された。
「テメェ等何やってんだ!!早く探せ!間違っても此処へは入れるな!」
入ってきた男を含め、今入ってきたばかりの男達にそう叱声を浴びせる。
だが、時は既に遅し。
『もう、此処にいるよ』
中田の背後には、一つの影。


