Ri.Night Ⅳ



「やはり俺等だけでは潰せなかったか」


溜め息混じりにそう零した中田はポケットから右手を出した。


その手には携帯が握られていて。慣れた手付きで操作し、耳にあてる。



「お前等は終わりだ」



中田から放たれた言葉。


それは携帯の主に向けられたものではなく,真っ直ぐ十夜へと向けられている。


即ち、その言葉は十夜へ向けられたもの。


だが、中田の言葉を聞いても十夜は何の反応も示さなかった。


ただ中田を見据えるだけ。


焦りの表情を浮かべる訳でもなく、幹部に指示を出す訳でもない。


何もしないのだ。


中田の余裕綽々の態度、そして勝利発言。


普通なら狼狽えるところを十夜は表情一つ崩さない。



それが中田の逆鱗に触れた。



「骨の欠片も残してやらねぇ。くたばれ」



中田はそう言ったかと思うとスッと目を細め、にやりと不気味な笑みを浮かべた。


そして。



「──D、出番だ」



電話の主に向けてそう言い放った。




“D”


それは中田と貴音の“切り札”。


墜ちる寸前の鳳皇をさらに窮地へと追い込み、その羽根をもぎ取る。


それが“彼等”の役目。




「……D」


十夜が彼等の名を紡ぐ。


だが、それは所詮呼び名。


Dの正式名称は中田と行動を共にしている貴音でさえ知らない。


中田のバックで身を潜め、まだ誰の前にも姿を見せたことがない謎のチーム。


そのチームが今日、初めて公の場に出てこようとしていた。