だが、それは下の人間にだけ言える事で。
鳳皇、獅鷹の両幹部はまだ誰一人として倒れてはいなかった。
疲れは窺えるものの、その表情にはまだ笑みが浮かべられている。
貴音にとったら幹部はどうでも良かった。
下の人間さえ倒れてくれれば良かったのだ。
貴音の目的は“数を減らす事”だったのだから。
貴音は笑みを浮かべたまま振り返った。
視線の先には中田。
中田はさっきの位置から移動してはおらず、ポケットに手を突っ込み余裕の表情で二人を見ていた。
貴音の笑みに中田の表情がさらに喜々とする。
貴音は敢えて何も言わなかった。
いや、言う必要がなかったのだ。
この状況は全て計算の内。
“この状況”こそが中田と貴音のシナリオだったのだから。
シナリオ通りに進んだのだから笑みが零れるのは当たり前。
ここまで来ればあとはこの闘いの幕を下ろすだけだ。
そう、幕を下ろすのは“貴音”。
貴音のシナリオがこの闘いに決着をつける。
「──呼べ」
その言葉と共に最終ステージが開かれた。


