Ri.Night Ⅳ



先に潰すのは両脇にいる男二人。


まずは二人を潰し、優音を助ける。


優音さえ助ければこっちのモンだ。


あとはある程度潰して逃げればいい。



うん。そうと決まれば行動開始だ。


握り締めていた携帯をポケットに忍び込ませ、再び奴等を睨みつけると足を一歩踏み出す。


けど、直ぐに引っ込めた。



カイと智広くんが動き出したからだ。


二人は軽く頷き合うと優音を置いてビルの中へと入っていく。


ヤバイ。中へ入る前に優音を助けないと。


焦りを押し込み、再び足を踏み出そうとするけど、あたしはそれ以上進む事が出来なかった。


……ゆう、と?


踏み止まった理由。


それは優音がこっちを振り向いたから。


優音の鋭い視線が痛いぐらい真っ直ぐあたしに突き刺さる。


優音……?


そう心の中で呟いた時、優音の視線がスッと左方へと逸らされた。


「……っ、」


それが“行け”という合図だというぐらい聞かなくてもすぐに解った。


けど、素直に頷く事なんて出来ない。


だって、“行け”という事は優音を見捨てるという事だ。


そんな事出来る訳ない。


無理だ。無理だよ。絶対に無理。


優音を見捨てるなんて絶対に出来ない!!



「ゆぅ……っ、」


呼び掛けようと口を開くと、先程とは比べ物にならない程鋭い視線に遮られてしまった。


……そんな。

なんで……?



──優音が、言ってる。


『俺を置いて行け』と。


そして、『貴兄と桐谷に知らせろ』と。


切り裂くような鋭い視線がそう言っている。