先に潰すのは両脇にいる男二人。
まずは二人を潰し、優音を助ける。
優音さえ助ければこっちのモンだ。
あとはある程度潰して逃げればいい。
うん。そうと決まれば行動開始だ。
握り締めていた携帯をポケットに忍び込ませ、再び奴等を睨みつけると足を一歩踏み出す。
けど、直ぐに引っ込めた。
カイと智広くんが動き出したからだ。
二人は軽く頷き合うと優音を置いてビルの中へと入っていく。
ヤバイ。中へ入る前に優音を助けないと。
焦りを押し込み、再び足を踏み出そうとするけど、あたしはそれ以上進む事が出来なかった。
……ゆう、と?
踏み止まった理由。
それは優音がこっちを振り向いたから。
優音の鋭い視線が痛いぐらい真っ直ぐあたしに突き刺さる。
優音……?
そう心の中で呟いた時、優音の視線がスッと左方へと逸らされた。
「……っ、」
それが“行け”という合図だというぐらい聞かなくてもすぐに解った。
けど、素直に頷く事なんて出来ない。
だって、“行け”という事は優音を見捨てるという事だ。
そんな事出来る訳ない。
無理だ。無理だよ。絶対に無理。
優音を見捨てるなんて絶対に出来ない!!
「ゆぅ……っ、」
呼び掛けようと口を開くと、先程とは比べ物にならない程鋭い視線に遮られてしまった。
……そんな。
なんで……?
──優音が、言ってる。
『俺を置いて行け』と。
そして、『貴兄と桐谷に知らせろ』と。
切り裂くような鋭い視線がそう言っている。


