「とにかく、このまま野放しにはしておけない。
奴をこれから鳳皇に入れるのか入れないのか、それを判断しなきゃいけないから桐谷に電話するんだよ」
「………」
「奴は俺達にバレた事を知らないからな。もしかしたらこの後鳳皇へ行くかもしれない。その時どうするか、先に考えといた方がいい」
「……うん」
頭の中がごちゃ混ぜになり、冷静な判断が出来ないあたしは優音が判断した事にただ頷く事しか出来なかった。
優音に言われた通り、十夜に報告する為ビルの外へ出る。
携帯をグッと強く握り締めながら重い足取りで螺旋階段を上がった。
何故螺旋階段なのかと言うと、ビルの中は電波が通らなかったから。
取り敢えず外へと出てみたものの、電話出来るような場所はなく。
仕方無いからビルの外でかける事にした。
けれど、外にいたら“D”に見つかるかもしれない。
だから、隣のビルにあった螺旋階段を利用する事に決めたんだ。
螺旋階段と言っても全てがオープンになっている訳ではない。
腰ぐらいの位置まで壁があり、座ると全く見えない様になっていた。
運が良かった。
オープンだと発見される可能性があるかもしれない。
もし発見されてもあたしだとは気付かれないだろうけど。
まぁ、用心するに越した事はないだろう。
「ふぅ……」
電話、しなきゃ。
その場にしゃがみ、呼吸を整える為に一息吐き出す。
まずは携帯の電波を確認。
……よし。電波はある。あとは十夜にかけるだけだ。
「………」
けど、いくら気合いを入れても一向に指が動いてくれる気配がない。
……どれだけ緊張してるんだあたし。


