今見ている光景が信じられなくて、口元に添えられた手で何度も何度も目を擦り、彼の姿を確認した。
けど、何度見ても智広くんに間違いない。
「嘘だ……」
更なる絶望感に襲われる。
“彼”
それは充くんの友達、智広くんのこと。
智広くんは今鳳皇側にいる筈だ。
なのに、何故彼が敵であるカイと一緒にいるんだろう。
「凛音、知ってる奴がいるのか?」
「……うん」
定まらない焦点で彼を見据える。
視線の先には確かに彼がいた。
敵と一緒にいるにも関わらず、満面の笑みで笑っている彼が。
分からない。
何故。何故彼が“D”といるのか。
充くんと友達の筈の彼がどうして敵である“D”と一緒にいるのか。
それがどうしても分からない。
……いや、違う。
分かりたくないんだ。
「もしかして、鳳皇の人間があの中にいるのか?」
──理解、したくないだけ。
「凛音?どうなんだ?」
「………」
「いるんだな?」
「……うん」
コクリと小さく頷くと優音は舌打ちをし、再び口を開いた。
「どれだ?」
「……一番背が高い茶髪で短髪の人」
「……アイツか」
大まかな説明でも解る程飛び抜けて背が高い彼。
百八十センチはゆうに越えている。
「奴は下の奴か?」
「……下の奴?っていうより、遥香さんの護衛してる人かな。もう一人充くんっていう人がいて、その人が昔鳳皇にいたの。
智広くんは充くんの友達で、遥香さんがこの繁華街で拉致されそうになった日から充くんと一緒に鳳皇に入ったんだよね」


