「何?十夜達に伝えたらいけない理由でもあるの?」
「……いや、」
難しい表情のままそう言った優音に少し疑問を感じだが、それ以上問い詰めずポケットから携帯を取り出した。
履歴から十夜の名前を見つけ、通話ボタンを押そうと親指を添える。
──が。
「此処、電波無い」
電話をする前に電波が無い事に気が付いた。
「優音、ちょっと向こうに行ってくるね」
そう言ってビルから飛び出そうとすると、
「凛音、待て!」
突然後ろから腕を引かれ、引き止められた。
そしてまた直ぐに優音の後ろへ隠される。
「何?」
「シッ!」
口元に人差し指を添え、あたしの言葉を静かに制する優音。
何事かと思い、身を乗り出して向こう側を覗いてみると、
「……アイツ等、」
さっきまで誰もいなかった筈のビルの入り口に数人の男達が屯していた。
その中にはあたし達が追い掛ける原因となったカイという奴もいる。
「何してるんだろう?」
ついさっきまでビルの中にいたのに、何故か今は外にいる。
しかも遠くを見据えて何やら電話してるし。
奴等の様子から察するに、誰かを待ってるように見えた。


