「よし」


よし、じゃないしっ!


……っていうか有り得ない。ホント有り得ない。


いつも思うけど、朝っぱらからプロレス技なんて普通かけないでしょ!

普通に起こしたらいいじゃん!


満足げに頷いた優音はあたしの腕をするりと離すと、ベッドから下りる為あたしに背を向けた。


チャンス!


この絶好のチャンスを逃すまいと即行体勢を立て直したあたしは、にやりと口端を上げながら背後から勢いよく優音の上半身に腕を回す。


そして、


「敵に背後を見せるとは馬鹿な奴だ!!」


容赦無くバックドロップをかました。



「……テッメェ……、」


「ふふん。凛音様をナメんじゃないわよ!!」


左手を腰に当て、右人差し指でビシッと優音を指差すあたしは恐ろしい程格好良い。


悔しげにあたしを見上げる優音の視線が妙に快感で、嫌でも口角が引き上がる。


──が。


「なーにがナメんじゃないわよ、だよ!やられたら百倍返しだって事忘れてんじゃねぇよ、バーカ!」


「……っ、ギャー!!」




その後、憤怒した優音にコテンパンにやられたのは言うまでも無い。