二、三メートルはあるであろうはしごをスイスイテンポ良く登ると、天辺に着いた所でガッシリと柵を掴んだ。
そのままよじ登り、コンクリートに両足を着けて腰の高さまである柵を片方ずつ乗り越える。
あー、なんてデンジャラスなの……。
今上ってきたばかりのはしごを見つめ、心の中でポツリと零す。
……っと、呑気に梯子を見つめてる場合じゃない。早く行かなきゃ!
くるりと振り返ると、視線の先には古びた扉があった。
それはまさしくこの工場に入る為の扉。
やっぱりあたしの勘は外れてなかったんだ。
流石あたし、とほくそ笑みながらドアノブに手をかけると、ゆっくり右に回す。
すると、ラッキーな事に特別力を入れなくても簡単に開ける事が出来た。
ホラ、あたしやっぱ運良いじゃん!
扉が簡単に開いたあたしはテンションが上がってガッツポーズ。
今なら何でも出来そうな気がする。
そう。
それが例え貴兄を止めるという困難な事であっても。