静寂が破られたのは十分程経った頃。
静寂を打破したのは寝室から出てきた十夜だった。
「お前等に話したい事がある」
そう言った十夜の表情は“無”に近く、
けれど、何かを決意したような、そんな力強さを感じた。
先程と全く違うオーラを身に纏っている十夜に、その場の空気が一瞬にして張り詰める。
「話したい事……?」
良い話なのか悪い話なのか。
無を貫く十夜からは何も読み取れず、煌達はただ顔を顰める事しか出来ない。
「──“D”についてだ」
「……っ」
そう言った直後、遥香の瞳が最大限に見開かれた。
「十夜っ!?」
信じられないとでも言いたげに発せられた声は真っ直ぐ十夜へと向けられていて。
焦りの浮かんだその表情に煌達が怪訝に眉を引き寄せた。
「……遥香、ここまでだ」
「十夜……」
「──“全て”、話す」
-客観的視点 END-