今走っている所は、屋根と言うより屋上と言った方がしっくりくる。
屋根と言えば瓦で出来ていたり斜面になっていたりするけど、この工場は平坦な上コンクリート造りで、工場と言うよりビルに近かった。
さらに言うとこの屋根……屋上は柵がない。
まぁ、だから飛び移る事が出来た訳なんだけど。
走っていると、前方にコンクリートの壁が見えてきた。
どうやらここから先は二階があるらしい。
だけど、窓らしきものは何処にもなく、変にソコだけ突き出していた。
うん。超不自然。
取り敢えず進まなきゃと思い、壁に手を添えながら歩いていく。
次第に見えてきたのはこの壁の終着点。
それを何の躊躇いもなく左に曲がった。
曲がった瞬間、視界に入ってきたのは一本のはしご。
まるで登れと言わんばかりに取り付けられている。
「ぃよっと」
そりゃこんなの見たら登るよね。
なんせあたし好奇心旺盛だし。
って言うか、あたしの第六感が告げているのよ。
このはしごを登るとゴールが近いっていうことをね。
女の勘程鋭いモノはない!
という訳で、取り敢えず登ろう。


