……今、皆はどんな顔であたしを見てる?
哀れみ?同情?困惑?
それとも、こんな状況にも関わらず、つまらない嫉妬で鳳皇から去ろうとしているあたしを軽蔑した目で見ているのだろうか。
──コワイ。
皆の顔を見るのがコワイ。
自業自得な筈なのに、それでも皆の目を直視する事が出来ない。
「凛音……!」
苦しげに吐き出されたその声に身体が小さく飛び跳ねた。
声の主は、陽。
「凛音ちゃん……」
「……りっちゃん」
続いてあたしの名を呼んだのは壱さんと彼方で。
三人の声に心が激しく揺れ動く。
温かかったから。
皆の声色は想像していたのとは違い、涙が出る程温かかった。
心配してくれてる。
それが分かるぐらい皆の声は優しくて。
──でも。それでも。
「皆、ごめんね……」
これ以上此処には居られなかった。
みんなの傍にはいたい。
けど、十夜の傍にいるのは辛い。
二人の関係をハッキリ聞くにはまだ心の準備が出来ていないから。
だから、十夜にバレてしまった以上此処にはいられない。
「──次はアンタが苦しむ番だ」
冷ややかな口調でそう吐き捨てた優音は踵を返すとゆっくり歩き出した。
「……っ!」
けど、揺れは直ぐに止まり、代わりに上半身が前へと傾いていく。
揺れを止めたのは十夜。
それを理解したのは十夜との距離がゼロになった時だった。
後頭部に感じる大きな手の温もりと、額への小さな衝撃。
「──凛音」
「……っ、」
そして、僅か数センチ程先で零された切なげ声。
それがあたしの心に強い衝撃を与えた。


