「凛音──」
「触んな」
左腕に触れた十夜の手を優音が目にも留まらぬ速さで払い退ける。
俯いていたあたしはそれを涙を堪えながら見ていた。
全身が震え、視界が揺れる。
優音に支えられていなかったら、あたしはきっとその場に崩れ落ちていただろう。
「凛音は連れて帰る」
「待──」
「アンタ、凛音が今まともに話せると思ってんの?」
「………」
「誰のせいで、何の理由で哀しんでんのか分かってんのかよ」
「………」
「これ以上凛音を追い詰めんな」
怒りを含んだその声に更に涙が溢れた。
手首掴む優音の手がこれでもかと言う程涙腺を刺激して。
腰に回している優しい手がそれを容赦なく破壊した。
優音……。
ギュッと優音の服を握り締めると、優音はあたしの頭を一撫でし、スッと屈んであたしを抱き上げた。
左手一本で軽々とあたしを抱えた優音。
まるで子供のように左腕に乗せられたあたしは抱えられた直後、直ぐ様俯いた。
突き刺さる幾つもの視線。
その視線に鼓動が速くなるのを感じ、俯いたまま優音の首に両手を撒きつけた。
唇を強く噛み締め、その視線に耐える。


