Ri.Night Ⅳ


「凛音──」

「触んな」


左腕に触れた十夜の手を優音が目にも留まらぬ速さで払い退ける。


俯いていたあたしはそれを涙を堪えながら見ていた。



全身が震え、視界が揺れる。


優音に支えられていなかったら、あたしはきっとその場に崩れ落ちていただろう。



「凛音は連れて帰る」


「待──」


「アンタ、凛音が今まともに話せると思ってんの?」


「………」


「誰のせいで、何の理由で哀しんでんのか分かってんのかよ」


「………」


「これ以上凛音を追い詰めんな」



怒りを含んだその声に更に涙が溢れた。


手首掴む優音の手がこれでもかと言う程涙腺を刺激して。


腰に回している優しい手がそれを容赦なく破壊した。



優音……。


ギュッと優音の服を握り締めると、優音はあたしの頭を一撫でし、スッと屈んであたしを抱き上げた。


左手一本で軽々とあたしを抱えた優音。


まるで子供のように左腕に乗せられたあたしは抱えられた直後、直ぐ様俯いた。



突き刺さる幾つもの視線。


その視線に鼓動が速くなるのを感じ、俯いたまま優音の首に両手を撒きつけた。


唇を強く噛み締め、その視線に耐える。