なんで優音が此処に?
「ゆう……?」
冬吾くんを押し退けてズカズカと部屋に上がってきた優音は十夜の手を乱暴に払い、代わりにその右腕を掴んだ。
そして、自分の方へと引き上げる。
「ゆ……」
今のあたしには抵抗する力など残っておらず、優音に導かれるまま立ち上がった。
「……っ」
足に力が入らない。
身体がふらりと優音の方へ傾き、それを優音が優しく受け止めてくれる。
「……なんでお前が此処に?」
「ハッ。なんでって?決まってんだろ。凛音を迎えに来たんだよ」
「……凛音を、迎えに?」
……優音?
十夜の怪訝な声とあたしの心の声がピタリと重なったと同時に顔を上げた。
すると優音の手に少し力が籠り、逆の手で腰を引き寄せられる。
「……どういう事だ」
零されたのは疑問の言葉。
それは今のこの状況を理解出来ないと言っているような声色だった。
あたしも十夜同様、イマイチ今の状況を理解出来ていない。
なんで優音が此処にいるの……?
「──アンタ、本当に気付いてねぇのかよ」
……っ、優音?
まるで十夜に挑むかのようなその物言いに嫌な予感が過ぎる。
まさか……。
「気付く……?」
再び耳に届いた十夜の怪訝な声。
その声に全身が強張った。
「優音!」


