Ri.Night Ⅳ


遥香さんのその言葉を聞いて、ある光景が脳裏を過ぎった。


それは、“お前敵だったのか?”と言った男と初めて会話を交わした時の光景。



『オイ、女は何処にいる?』

『……あ?お前誰だよ?』

『俺も女を捜してる』

『……あ?あぁ、仲間だったのか。悪ぃ、俺まだ全員把握してなくて』



“仲間だったのか”?

“全員把握してなくて”?


男は何故そんな事を言った?


ゲームで集まった人間が何故“仲間”という言葉を使う?

何故“全員把握していない”と言う?

何故“お前、敵だったのか?”と問う?



それだけじゃない。

奴は“他の奴の情報では”と言って遥香さんの居場所をあたしに教えた。


他の奴?

“それ”が指し示す意味は……?


「……っ」


そんなもの一つしかないじゃないか。




「あの男は、“D”だった……」



そう。

あの男はその辺の不良なんかじゃない。

ゲームで集まった不良なんかじゃない。


あたし達の敵、“D”だった。



「じゃあさっき解放した奴等も……?」


「オイ、凛音どういう事だよ。……凛音?」


「あ、あたし……」


思い出してしまったあの光景に身体が小刻みに震え、滲む涙で視界が揺れる。


……あたしが、あたしが早く思い出していればアイツ等を逃がさなかったのに。