「まさかあの男の人達がお金で動いていたなんて……」
そこまで言って何故か徐に首を捻った遥香さん。
その表情は何かを思い出しているかのような表情で、あたしもつられて首を傾げた。
「遥香ちゃん、どうかした?」
壱さんも遥香さんの表情が気になったのか、眉を寄せ、不思議そうにそう問い掛けた。
他の皆も遥香さんを見て顔を顰めている。
皆からの視線を一身に受けた遥香さんは何かを思い出したのか、「あっ!」と小さく声を上げたかと思うと、勢いよく顔を上げ、何故かあたしの方へと振り向いた。
そして。
「凛音ちゃん、あの時、あの男の人“お前敵だったのか?”って言わなかった?」
遥香さんは真剣な表情でそう問い掛けてきた。
「……“あの時”?“あの男の人”?」
何?何の事を言ってるの?
遥香さんの言ってる事が全く分からず、首を傾げる事しか出来ない。
「“あの時”だよ!ホラ、繁華街で凛音ちゃ……ううん、リンくんが助けてくれた時」
それって……。
「……昨日、ですか?」
「うん、そう。リンくんが助けに来てくれて、金髪の男の人にそう言われてた。
確かリンくんあの時“仲間だとは言ってない”的な事言ってたような……」
「……あ」
そうだ。思い出した。アイツだ。
遥香さんが何処にいるのか分からなくて、その居場所を聞いた男。
その男が……?
「私、あの男の人が“敵だったのか?”って言ってたから、追い掛けてた人達はてっきり何処かのチームの人かと思ってたの」
「……っ、」
……あ。


