Ri.Night Ⅳ


じゃあ一体何の目的があって溜まり場を襲撃した?


十夜達が問題視しているのは“そこ”だった。


鳳皇と獅鷹を潰そうとしているのは知っている。


けど、それは総長の十夜や貴兄がいないと意味がない。


どれだけ下っ端を潰しても、総長を潰さなければチームを潰した事にはならないのは奴等も分かっている筈だ。


それなのに十夜達のいない溜まり場を襲撃した。


きっと何か意味がある筈だ。


でなければそんな無駄な事しない。



「──十夜、捕らえた奴等どうする?“D”じゃねぇって分かったんだ。いつまでも捕らえておけねぇだろ」


「……そうだよね。奴等は何も知らない。これ以上は無意味だ」


煌の言葉に応えたのは十夜ではなく壱さんで。


二人は言葉を交わした後、難しい表情で黙り込んでしまった。


陽と彼方も同様、険しい表情で何かを考えている。




「──奴等を解放しろ」



張り詰めた空気を打ち破ったのは総長である十夜。


「……分かった」


数秒の沈黙の後、煌は一言だけそう返事をするとおもむろに腰を上げ、リビングから出て行った。

その後ろ姿を寝転がったまま見つめる。






あたしは何故この時“あの時”の“あの男の言葉”を忘れていたのだろう。


この時思い出していれば“D”の居場所を突き止められたかもしれないのに。


あたしが、思い出していれば──