じゃあ一体何の目的があって溜まり場を襲撃した?
十夜達が問題視しているのは“そこ”だった。
鳳皇と獅鷹を潰そうとしているのは知っている。
けど、それは総長の十夜や貴兄がいないと意味がない。
どれだけ下っ端を潰しても、総長を潰さなければチームを潰した事にはならないのは奴等も分かっている筈だ。
それなのに十夜達のいない溜まり場を襲撃した。
きっと何か意味がある筈だ。
でなければそんな無駄な事しない。
「──十夜、捕らえた奴等どうする?“D”じゃねぇって分かったんだ。いつまでも捕らえておけねぇだろ」
「……そうだよね。奴等は何も知らない。これ以上は無意味だ」
煌の言葉に応えたのは十夜ではなく壱さんで。
二人は言葉を交わした後、難しい表情で黙り込んでしまった。
陽と彼方も同様、険しい表情で何かを考えている。
「──奴等を解放しろ」
張り詰めた空気を打ち破ったのは総長である十夜。
「……分かった」
数秒の沈黙の後、煌は一言だけそう返事をするとおもむろに腰を上げ、リビングから出て行った。
その後ろ姿を寝転がったまま見つめる。
あたしは何故この時“あの時”の“あの男の言葉”を忘れていたのだろう。
この時思い出していれば“D”の居場所を突き止められたかもしれないのに。
あたしが、思い出していれば──


