男達の絶叫を背に、あたしは大きく足を開脚し、地面を蹴り上げた。
ふわりと宙を浮く身体。
よし!いける!
浮いた瞬間、あたしは確かな手応えを感じた。
「マジかよ!?アイツ跳びやがった!!」
「信じらんねぇ!!」
爪先が地面に触れ、身体全体が安堵に包まれる。
足が両方とも地面へ着地すると、前屈みになった上体を起こし、後ろを振り返った。
視線の先には、木々に囲まれてあんぐりとだらしなく口を開けている男達。
男達は半分放心状態。
そんな男達にどうだと言わんばかりにニカッと笑い、ピースして見せた。
「跳べるモンなら跳んでみろー!」
「なっ……!!」
挑発する様に両手を頬の前で閉じたり開いたりしてみせる。
ついでに舌を出してあっかんべーも忘れずに。
「テッメェー!!」
「直ぐそっちまで行ってやるよ!!」
案の定、顔を真っ赤にさせた男達は悔しそうに唇を噛みしめ、奇声を上げている。
あたしと同じ様に屋根へ跳び移ろうとしているのか、男達は崖下を恐る恐る見下ろしていた。
だけど、やはりコワいのか、顔を歪ませて互いに顔を見合わせている男達。
フンッ。ホントビビりばかりだよね。
喧嘩するくせに高いとこは駄目なんて。
もっと根性鍛え直してこい!


