今は十夜の事を考えるのは止めよう。
それよりもさっきの説明の方が気になる。
そう思ったあたしはそっと目を閉じ、煌を除く三人の会話に耳を傾けた。
「やってくれるよな。まさかアイツ等が“D”じゃなかったなんて」
「でも、いくら尻尾を掴ませない為とはいえ普通そこまでするかな……?」
「なぁ、ホントにはるるんは大丈夫なのか?“アレ”見たらまだ何かありそうな気がすんだけど。護衛だけじゃヤベェんじゃねぇの?」
彼方の焦り混じりの声に陽と壱さんが黙り込む。
あたしも皆から説明された時同じ事を思った。
このままだと遥香さんが危ないんじゃないかって。
だって、皆から説明された内容はあたしには到底理解出来ないものだったから。
まず、十夜達が説明してくれたのは昨日の事についてだった。
零くんからの情報を元に十夜達は“D”のアジトらしき場所へ向かった。
だけど、乗り込んだ時にはもう奴等の姿は何処にもなく、店内はもぬけの殻。
出入口をずっと見張っていた零くん達は奴等が中へ入って十夜達が来るまでの間、そのお店からは誰も出てきていないと言った。
じゃあどうやってそこから逃げたのか。
それはキョウとカイが消えた方法と同じ、勝手口を使ったのだ。
そのお店は雷さんのお店同様、勝手口があった。
それは出入口の反対側にあったらしく、当然正面で見張っていた零くん達には見えていない。
零くん達は奴等にまんまとしてやられたという訳だ。
これが十夜達の見解。
結局何の収穫もなく、襲撃された状況などを詳しく聞く為十夜達は水皇へ移動した。
だから帰ってくるのが遅かったのだ。