お風呂から上がると、冷蔵庫からお気に入りのジュースを取り出し、それを飲みながら十夜宛のメールを作成する。


それは“疲れたから先寝るね。おやすみ”という簡単な内容。


煌達にもおやすみメールを送った。


送信後、携帯を持って寝室へ移動すると重力に身を任せてベッドの上へと倒れ込む。


身体全面に強い衝撃を受けるも、今はその衝撃でさえも心地好いと感じた。


スプリングで揺れるベッドがまた眠気を誘う。


そっと目を閉じ、ベッドに倒れ込んだ時と同様に眠りに身を任せる。


今はただ心を無にして眠りにつきたかった。


何も考えたくなかった。

早く楽になりたい。

ただそれだけだった。



その願いが通じたのか、あたしは五分もしない内に眠りにつく事が出来た。


「──凛音」


十夜が寝室に入ってきたのはあたしが寝て二時間程経った頃。


その時あたしは深い眠りについていて、十夜が部屋に入ってきた事も知らなかった。



「何で泣いてんだよ……」


──自分が寝ながら泣いていた事も、



「──俺は、どうすれば……」



十夜が後ろからあたしを強く抱き締め、弱々しくそう呟いていた事も、


寝ていたあたしは知らなかった。