分かってる。
失敗すれば怪我では済まされないって事ぐらい。
けど、この方法しかないんだ。
この方法しか思いつかない。
大丈夫。
このぐらいの距離、なんてない。
あたし、走り幅跳びは得意な方だから!
そうと決まれば行動開始だ。
拳をグッド握り締め、助走をつける為に急斜面を逆走する。
「ちょ……!アイツこっち来てんぞ!?」
「はぁ!?意味分かんねぇ!」
恐る恐る下りて来ていた男達が突っ込んで来るあたしを見て驚きの声を上げた。
そりゃそうだ。
逃げていたあたしが逆走して来たのだから。
お兄さん達、コワイ思いさせてごめんね?
それももうここまでだから。
数メートル先にいる男達にニッコリと嘘臭い微笑みを向けると。
「は?」
「はぁぁぁぁ!?」
足を止める事なく踵を返し、今上ってきたばかりの急斜面を再び滑り降りた。
「あ、アイツ何しに来たんだよ!?」
「知らねぇよ!」
背後から聞こえる戸惑いの声。
その声に、してやったりと口角を上げる。
「と、とにかく追い掛けんぞ!」
「ッテェ!分かってるよ!」
言い争いをしながらも同様に滑り降りてくる男達はやっぱりへっぴり腰で。
そんなんじゃいつまで経ってもあたしに追い付けないよ?
男達の間抜けな姿に余裕の笑みを浮かべ、重力に身を任せてスピードを上げる。
チャンスは一度だけ。
失敗すれば大怪我だ。
跳ぶ位置を再確認し、呼吸を正す。
よし!
1
2
3
ジャーーンプ!!
「は?はぁぁぁ!?」
「嘘だろ!?」
「有り得ねぇ!!」


