「……電話?」
リビングに入った直後。
まるで見計らったかのように鳴り出したのは携帯のバイブ音。
また十夜からだろうかと少し緊張気味に携帯を取り出せば、表示画面には十夜ではなく愛しの弟、優音の名前が表示されていた。
「優音!?」
直ぐ様受話ボタンを押し、飛び付くように優音の名前を呼ぶ。
すると、
『おまっ、いきなり叫ぶなよっ!!』
開口一番怒られた。
「ご、ごめん」
口では謝っているけど、実は全く反省していない。
だって優音の声が聞けて嬉しいんだもん。
傷心の時だからこそ余計にそう思う。
「優音、どうしたの?」
『どうしたのってお前が心配だから電話したんだよ。俺はお前行かせるの反対したんだからな』
「優音……」
心配だと言う割りにはムスッとした声が返ってきて思わず顔がにやけた。
「優音、ありがと」
『……んだよ、笑ってんじゃねぇよ馬ー鹿』
どうやら笑っているのがバレているらしい。
「お姉ちゃんに馬鹿って言うな」
『お姉ちゃんなら心配させんな』
「……む」
他の人に勝てても優音にはやっぱり勝てないみたいだ。
『次は無いからな』
「……うん」
声は怒っているけど、心配してくれてるって分かってるから素直に頷いておいた。


