Ri.Night Ⅳ


「……っ、充…くん……?…ごめん、ボーッとしてた」


充くんに肩を揺らされ、意識が現実に戻る。


「いえ、それよりも凛音さん、さっきから携帯が鳴ってるんですが……」

「えっ!?」


充くんの言葉に耳を澄ませば、確かにポケットからバイブ音が聞こえていて。


震え続けている携帯をポケットの中から取り出すと、


「十夜……」


画面に表示されているのは十夜の名前だった。


その名前を見た瞬間、心臓が普段とは違う鈍い音を立てる。


ざわつく胸中。


思わず胸元で右手をギュッと握り締めた。



「あの……凛音さん、俺が出ましょうか?」


「え?……ううん、大丈夫。ありがとう充くん」


そう言うと、覚悟を決める為にスゥと息を吸い込み、意を決して受話ボタンに指を乗せた。


素早く切り替わる着信画面。

それを見て、また心臓の音が五月蝿いぐらい速くなった。



「──もしもし」


緊張で声が震える。


それが十夜に伝わっていないかと少し焦ったけど、


『──もしもし?凛音か?』


どうやらその心配は無さそうだった。


普段と変わらないその声色に「うん」と小さく返事し、聞こえないように溜め息をつく。


『悪い、待たせた。今から帰る』


「……うん、分かった。気をつけて帰ってきてね」