Ri.Night Ⅳ



「あっぶね!お前向こうから下りろよ!」


「お前が向こう行けって!」


ヤバい!奴等が来る!


男達の声に直ぐ様振り返ると、男達はビビりながらも少しずつ斜面を下っていた。


モタモタしていると直ぐに追い付かれてしまう。


けど、この先はあたしでも下りられない程の急な坂。

と言うより、最早崖に近かった。


左右を見回しても、崖は工場に平行していて下りる所など見当たらない。


目的地に着く最短距離だと思って急斜面を滑り降りたけど、どうやら検討違いだったようだ。



どうする?考えろ、凛音。

早くしないと奴等が追い付いてくる。


どうすれば。どうすればいい?

どうすればこの工場に辿り着ける?


どうすれば───あ。



視界に映る工場の屋根を見て、“あること”を閃いた。


足元に見えるのは崖。


そして、前方には工場の屋根。


距離にして約二メートル程。



跳べるかもしれない。



そう。


“あること”とは、此処から工場の屋根へ飛び移る事。