「……充くんは二人の事知ってた、よね?」
カップに視線を落としたまま、呟くようにそう問い掛ける。
充くんに聞こうと思ったのは充くんなら何か知っていると思ったからだ。
充くんは元鳳皇。そして今は遥香さんの護衛役。
遥香さんの一番近くにいると言っても過言ではないだろう。
だったら十夜との事も千暁くん達より知っている筈。
「……はい、知っていました。俺は誰よりも遥香さんの近くにいたから」
やっぱり。
「十夜と遥香さんは付き合ってたの?」
「………」
「……充くん?」
黙り込んでしまった充くんを不審に思いそっと顔を上げると、充くんは顔を伏せ、何かを堪えるように口を固く結んでいた。
その横顔はまるで何かを思い悩んでいるような、そんな憂いを帯びた横顔。
「どうしたの……?」
充くんの右肩にそっと触れ、そう問い掛ける。
「凛音さんは……」
「……うん」
「二人の事を聞いて辛くないんですか……?」
「……っ」
ポツリと静かに落とされたその言葉に言葉が詰まった。
自然と目線が下がっていく。
「……凛音さん、ごめんなさい」
「み、充くん謝らないで!」
申し訳なさそうに頭を下げた充くんに慌てて手を振る。
あたしが黙り込んでしまったばかりに充くんに頭を下げさせてしまった。
充くんはあたしの為を思って聞いてくれたのに。


